世の中には数値化できないものがあります。
例えば円周率。3.141592…と数値化できないからπを使っています。無理数は基本的に数値化できないものの代表と言えるでしょう。
ビジネス上の目標設定においても、無理数の他にも、多変数を取り扱うもの、確率論を取り扱うものは数値化が難しいと言えます。
強引に数値化しても果たして意味のあるものなのか疑わしいというのも事実です。
今回は、ビジネス上の目標設定において数値化が無理っぽいのに数値化を求められている方々をなんとかして救済するべく立ち上がりました。
AIが。
数値化できないものは管理できない

結論から言えば、多変数関数からシミュレーションを行う場合、完璧な数値化は不可能です。
カオス理論によると、初期値のわずかな違いが、時間の経過とともに指数関数的に増加し、最終的には大きな違いを生み出す可能性があります。
この現象を「バタフライ効果」と呼びます。
多変数関数をシミュレーションする場合、それぞれの値を完全に正確に指定することはできません。
したがって、シミュレーション結果は、それぞれの値のごくわずかな違いによっても大きく異なる可能性があり、改善というより管理が不可能なのです。
例1.天候予報
例えば、天候予報は、大気の状態を多変数関数で表し、シミュレーションによって将来の天候を予測します。
しかし、大気の状態は非常に複雑であり、すべての変数を完全に正確に測定することはできません。
そのため、天気予報は常に不完全であり、予測が外れることもあります。
例2.ロケットの軌道
また、ロケットの軌道をシミュレートする場合、ロケットの質量、速度、加速度、姿勢などの初期値は、結果に大きな影響を与えます。
しかし、これらの初期値は、測定誤差によって、必ずわずかな違いが生じます。
そのため、ロケットの軌道を完全に予測することは不可能であり、シミュレーション結果も、初期値の違いによって、異なる可能性があります。
例3.経済モデル
また、経済モデルも、経済の状態を多変数関数で表し、シミュレーションによって将来の経済を予測します。
しかし、経済は非常に複雑であり、すべての変数を完全に正確に測定することはできません。
そのため、経済モデルの予測も常に不完全であり、実際の経済状況と異なることもあります。
このように、多変数関数からシミュレーションを行う場合、完璧な数値化は不可能であり、シミュレーション結果は必ずしも現実と一致するとは限らないことを理解しておくことが重要です。
そもそも定性目標は数値化が難しい

数値化できない目標の例としては、顧客満足度、企業理念の浸透度、サービス品質、企業・ブランドの認知度などの定性目標も挙げられます。
これらはそもそも数字を取り扱っていないため、数値化するのが困難です。
強引に人数・費用・利益・時間などの数値化しやすい概念に落とし込むことは可能に見えますが、軸がブレる要因になり得ます。
具体的には、次のような問題が発生する可能性があります:
- 目標の本質が失われる
- 人事担当者の価値観に左右され、客観性が欠けやすい
- モチベーションが下がる
- 数値を優先する考えが広がる
- 数値化されていない業務が疎かになる
定性目標を無理やり数値化すると、進捗状況を数字で表すのが困難になります。
また、数値で表せない社員の行動や資質をひとつずつチェックしていくのは、評価者にとっても負担が大きくなります。
知らんけど。
言ってることは正しいが、それを言うのは正しくない

言っていることが正しいかどうかは、その発言の文脈や、発言者の意図によっても異なります。
数値化という行為自体がロジカルっぽく見える以上、ロジハラ認定される危険もあります。
また、発言の内容が、誰かにとって不快や傷つけるものである場合、たとえその発言が事実に基づいていたとしても、それを言うことは正しくないと判断されることもあります。
このことがまさに過剰な数値化の要求に当てはまるのです。
「目標を数値化して達成したかを判断する」というのは正しいことが多いかもしれませんが、いつでも言うのは正しくないケースがあります。
以下のものを扱う多変数関数や確率論などにより成り立つ数字です。
カオス理論
カオス理論は、複雑な非線形システムやダイナミカルシステムを理解するための数学的な理論です。
この理論は、初期条件のわずかな変化が系内で大きな結果の違いを引き起こすことを示しています。
つまり、カオス理論はシステムの予測不可能性や感度依存性を研究するものです。
伝統的な物理学では、線形なシステムが予測可能であると考えられていましたが、カオス理論はその考え方を変えました。
カオス理論によれば、非線形なシステムや複雑なシステムは微小な変化に非常に敏感であり、予測や長期的な予測が困難であることが示されています。
数値的な予測不可能性が一つの学問になっている時点で、気づくべきではないでしょうか。
量子論
量子論は、物理学の分野であり、微小なスケールでの現象を説明するための理論です。
また、量子論では「波動-粒子二重性」という概念も重要な位置を占めています。
これは、粒子として振る舞う物理量と、波として振る舞う物理量の両方の性質を持つことを示しています。
このように量子のレベルで数的なものを逸脱している(粒子の状態と波の状態の重ね合わせであり、それは確率論で考えられる)ので、数値化できないものはやはりあるということです。
OKRにより管理はできなくても改善はできる

OKRとはObjectives and Key Resultsの略称で、「目標と主要な成果」のことを意味します。
OKRは、企業や組織が目標を達成するために、目標を明確にし、その達成度を測るための指標を設定する方法で、GoogleやIntelなどの大手企業でも導入されています。
目標は、達成したい大きな目標のことです。
主要な成果は、目標を達成するために必要な具体的な数値目標のことです。
数値化できないものは改善できない訳ではないが管理は難しい理由
OKRにおいて、数値化できない目標を管理することは難しいです。
数値化できない目標とは、例えば「ブランド認知度を高める」「顧客満足度を向上させる」「従業員エンゲージメントを高める」などの目標のことです。
数値化できない目標を管理することが難しい理由は、その達成度を測ることが難しいからです。
また、数値化できない目標は、数値目標と比べて具体的ではないことが多いです。具体的な目標を設定しないと、メンバーが何をすべきかが明確になりません。
数値化できないものを改善するための方法
数値化できないものを改善するためには、次の方法が有効です。
数値化できるものは数値化する
数値化できるものはできるだけ数値化して、目標を具体的にします。
例えば、「ブランド認知度を高める」という目標を「ウェブサイトの訪問者数を10万人に増やす」という数値目標に変えることができます。
代理指標を設定する
数値化できない目標に対しては、代理指標を設定します。
代理指標とは、目標を達成するために必要な具体的な数値目標のことです。
例えば、「顧客満足度を向上させる」という目標に対しては、「顧客満足度調査の満足度スコアを90点以上にする」という代理指標を設定することができます。
定期的に目標達成度を確認する
目標達成度を定期的に確認して、進捗状況を把握します。目標達成度を把握することで、軌道修正が必要かどうかを判断できます。
OKRにおける数値化できない目標の例
OKRにおける数値化できない目標には、次の例があります。
- ブランド認知度を高める
- 顧客満足度を向上させる
- 従業員エンゲージメントを高める
- 新規顧客を獲得する
- 既存顧客のロイヤルティを高める
- 製品やサービスの品質を向上させる
- イノベーションを促進させる
LLMの発展により重要になる可能性
GPTに代表されるLLMは、テキストの羅列から、次にくる文章を予測しています。
つまりは確率論により成り立つものなのです。
よく見かける「常に正確であるとは限りません。」の注意書きは確率論だからです。
正しいケースが多いですが、やはり学習中に間違ったデータが入り込んでいるため統計的に誤った返答を返す確率を捨てきれないので、こういう注意書きがあるのです。
なんでも数値化ができるというのは確率論によりこの世が成り立っている以上難しいのではないでしょうか。
文章生成ツール:Bard(PaLM2)
文章構成:増井光生
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